うれしいお知らせがあります。2007年4月から、東京都世田谷区にある国立成育医療センターで、タイラー基金によるカウンセリングサービスが第1歩を踏み出しました。臨床心理学を学んだ船木聡美さんが、週に3回、入院中のお子さんとそのお母様、ご家族のそばにうかがっています。お話をする中で、どのような生活を送っておられるのか、なにかお困りのことやサポートできることがないのかを模索中です。近い将来、カウンセリングサービスができるようになれば、日本で初めての試みになります。
このプログラムには、長年小児がんのお子さんのお母様たちのサポートを続けてきた戈木クレイグヒル滋子先生も参加しており、船木さんをサポートしつつ、プログラムのあり方を検討します。
船木聡美さんからのメッセージ
船木聡美からのレポート(2008年5月)を見たい方はここをクリックして下さい。
船木聡美からのタイラーへのメッセージはここをクリックして下さい。
はじめまして。こんにちは。私たちタイラー基金は、小児がんの子どもたちに「かがやく笑顔を!」を合言葉に、2007年4月にシャイン・オン・プログラムを国立成育医療センターでスタートさせました。このプログラムの目的は、入院中でも子どもたちが楽しい時間を持てるようにすることと、まずはお母さんをサポートすることです。
お父さん、お母さんは、子どもたちが風邪をひいたのかしら、ちょっと体調が悪いのかしら、と思って病院に行くと、そのまま入院になることもあります。お父さん、お母さんは医師から子どもの状態を聞き、病気の可能性を知らされます。このシャイン・オン・プログラムは、そのような入院生活の始まりから退院まで、付き添いの中心となるお母さんを支え、子どもの治療がスムーズに進むようにつなげていきます。
現在、
1. カウンセリング・プログラムの提供、
2. お母さんグループの活動、
3. 子どもたちの遊び、
という3つのプログラムを提供しています。
1. カウンセリング・プログラム
初めて入院されてこられたご家族が、お子さんの状態についてお話を伺うときに、臨床心理士が医師、看護師ともに同席します。後日改めて、ご家族やご兄弟の様子、現在心配していること、を面談室で伺います。それ以降は、ベッドサイドを回りますので、気軽に声をかけていただいたり、個人面談を希望される方には面談室での相談にも乗っています。また、お子さんの育ちも一緒にみていきます。
2. お母さんグループの活動
毎週水曜の午後2時から3時の1時間、お母さん方が季節に合わせて病棟の飾りつけを作っています。
病棟から区切られた部屋の中で、子どもたちが早く治るように願いを込めながら、折り紙や段ボールで工作をしています。昨年はお母さんたちが作った段ボールのクリスマス・ツリーに、子どもたちの折り紙の飾りが日に日にくっついて、とても素敵なツリーに変わっていきました。また、正月には鏡餅に角松もティッシュや色紙を使って作りました。子どもたちはナース・ステーションに寄ってきて、鏡餅を触ったり、眺めたりして楽しみました。この活動の時間には、お母さん同士で心配に思っていること、困ったときに役立った方法などもリラックスした雰囲気の中で話し合っています。
3. 子どもたちの遊び
子どもたちはプレイルームで病棟の保育士により集団で遊びを楽しむことができます。また、プレイルームに出られない子どもたちには、ベッドサイドでの絵本読み、巨大なお絵かき、画用紙の配布などを提供しています。2~3歳の子どもたちは「きんぎょがにげた」の絵本をお母さんと一緒に楽しみました。4~5歳の子どもたちは、
プレイルームに模造紙を広げて、1枚の大きな自由絵を描きました。線路や、アンパンマンや、お父さんの顔など、みんな思い思いにペンを走らせました。
私たちのシャイン・オン・プログラムは、より多くの子どもたちとお母さんたちのニーズに応えるべく、医師、看護師、保育士のすべてのスタッフとともに子どもとご家族のことを一緒に考えて進めています。このプログラムは、子どもたちが主役です。これからもタイラー基金は、子どもたちの輝く笑顔のために、ご家族と一緒になって入院生活を支援していきます。
戈木クレイグヒル滋子先生からのメッセージ
ご自分のお子さんが小児がんと診断されたときに、「なぜうちの子が?」と驚いたり憤ったりしないご両親はいらっしゃらないと思います。また、闘病の場である病院での生活が、あまりにも日常とは異なっているためにとまどう方も少なくないと思います。キムさんは成育医療センターでのご自身の経験から、闘病するお子さんに付きそうご家族に精神的なサポートが必要だと考え、タイラー基金カウンセリングとサポートプログラムをつくられました。 電話相談や遠くまで行けば相談できるものはこれまでにもありましたが、闘病中には身近な手に届くところにあるサポートが必要だと思います。そう考えて、タイラー基金カウンセリングとサポートプログラムでは、専門のカウンセラーを週3日みなさまの身近におくことにしました。 以前私がおこなった聞き取り調査では、小児がんの子どもたちは闘病を長距離走のように長く続く体験として話してくれました。走る道は常に平坦とはいえず、いろいろな困難な場所があるために、走り続ける意欲がゆらぐときもあります。ゴールも遙かかなたで見えません。これは長くてつらい長距離走です。でも、子どもたちは時に周囲からのサポートも得ながら、自分の力で走り続けようとしていました。
ご両親には長距離走を続けるお子さんを励ましながら伴走する役割があると思います。それは、簡単な仕事ではありません。まず、ご自身がお子さんの発病というショックから立ち直り、態勢を立て直して、看病に専念できる環境をつくらなくてはなりません。病気や治療に関する知識を集め、お子さんの苦痛をやわらげ、適応を促すとともに、周囲の人や医療者との関係づくりも重要です。ご自宅に残しているご兄弟の世話をどうするかも考えなくてはなりません。
「私がしっかりしなくては」と思っておられればおられるほど、困惑したり心が弱くなってしまうことがあります。「どうしたらいいんだろう」「なにかよい手だてがないだろうか」と相談したくなるのは当然です。身近のカウンセラーに相談できれば、問題を解決できたり、心が癒され、また元気になってお子さんのところに戻っていけるかもしれません。
どうぞお気軽にカウンセラーに声をかけてください。予約を取って頂ければ、ゆっくりとお話ができます。もちろん、経費は一切かかりませんし、プライバシーの保護には十分気をつけます。闘病が良い長距離走になるために私たちにできることを教えてください。
研究論文:
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